4月の体育は、5月にある新体力テストの練習に多くの時間があてられる。
50m走、ボール投げなどおなじみの種目が並ぶ。
6年生ともなれば、ルールもよくわかっているし、自分たちで練習することも可能だと思った。
体育の時間の前に体育係を呼んで、指示した。
「次の時間は、50m走、ボール投げ、立ち幅跳びの記録をとります。体育係が中心になってみんなで上手に記録をとってくださいね。任せますから」
「任せる」と言った以上、教師は任せる態度をとらなくてはならない。
最初の整列に並べない子どもがいても、それを黙って見ているしかない。
体育係が
「並んでください」
「準備運動をします」
「早く並ばないと、できないよ」
と言っている。でも、今までの経験が身についてる子どもたちだから、簡単にはできるようにならない。
それを教師が出て行って
「早く並びなさい」
と言って並ばせれば
「やっぱり先生が出てくるんだ」
となってしまう。
ここは、年度当初でもあるし、我慢の時間。
遠くから見ていて、危険がない限り出て行かない。
しばらくして、準備運動が始まり、50m走の記録を取り始めた。
私は、3つの種目を同時に測定する方法をとるのかと予想していたが、体育係は全体で移動する方法を選んだ。
後ろの方は、飽きて遊んでいる。
子どもがまだ時間を管理しようとする意識がない。
自分たちでやってみようという意識もない。
とりあえず、のんびりと進んでいる。
同僚から
「まだ始まったばかりだよ、そんなに変わるものじゃない」
と言われる。
結局、ボール投げをしたところで、時間切れ。
体育係に
「自分たちの進め方をどう思いますか。時間切れになってしまったね。3つに分けて記録をとるという方法を考えませんでしたか」
と振り返らせた。
次は、どうなるのだろう。