二度目の異動で、初めて小規模校に勤務することになった。
とても落ち着いた学校で、鍵がかかっている教室がほとんどなかった。
休み時間に、音楽室のピアノで練習している子どもがいるような学校だった。
法則化が開発した技術を使いながら、アドラー心理学の考え方にも惹かれる実践をしていた。
この学校の子どもたちには、アドラー心理学の考え方はとても合っていたように思う。
ゴールデンウィークが過ぎ、母の日が終わるとカーネーションの花が箱いっぱいに届いた。
カーネーションを栽培している保護者が、
「どうせ捨ててしまうのだから、学校に生けてもらおう」
と届けてくれたものだった。
学校中がカーネーションで飾られた。
イチゴ農家が
「ハウスをつぶす前に子どもたちにとらせたい」
と申し出てくれて、みんなでハウスにイチゴを取りに行ったり
「ミニトマトのハウスをつぶすから」
とトマトを取りに行ったりと、地域とつながった教育が展開されていた。
穏やかな子どもたちと過ごしたこの生活はいまから思えば、天国のような日々であった。
校庭には大きな楠があり、大きな枝を張っていた。運動会の練習で疲れれば、その木陰で休むことができた。大きな欅は、図工室からの眺めを最高にしてくれた。
小規模校の宿命で、勤務の長い順に異動になる。
6年間の楽しい生活から次の学校へと進む・